住宅購入支援策「3本の矢」が買い時終焉の危機を救う!?

新設住宅着工戸数が11ヵ月連続で増加となるなど、消費税増税前の「駆け込み需要」を見込んだ動きが活発化している。一方、政府は、駆け込み需要とその後の反動減を抑制するためさまざまな政策を打ち出している。特に、以下に紹介する3つの政策は、住宅購入支援策「3本の矢」とも言える大胆なもの。これらが実施されれば、住宅の「買い時」はまだまだ続くことになりそうだ。

第1の矢 住宅ローン減税拡充

来年4月以降は最大控除額が現在の2倍に!

「住宅ローン減税」とは、住宅ローン利用者のための減税措置のこと。一定の要件を満たすことで、住宅ローンの年末残高の1%に相当する金額が、10年間に渡って所得税や住民税から控除される仕組みだ。これまで、住宅ローン減税の最大控除額は10年間で200万円であったが、来年4月の消費税増税を見越し、[表1]のとおり大幅な拡充が行われる。増税前の購入が叶わなかった人にとっては、「買い時」が延長される措置と言えよう。一方、住宅ローン減税はその仕組み上、所得が高いほど恩恵を受けやすい。そこで、所得の高低によって不公平が生じないよう、現金を給付する制度なども検討されている。

[表1]

適用期日 ~平成26年3月 平成26年4月~平成29年末※1
ローン残高の限度額 2,000万円※2 4,000万円※2
最大控除額(10年間合計) 200万円※3
(20万円×10年)
400万円※3
(40万円×10年)
控除率、控除期間 1%、10年間 1%、10年間
住民税からの控除上限額 9.75万円/年
(前年課税所得×5%)
13.65万円/年
(前年課税所得×7%)
主な要件 ①床面積が50m2以上であること
②借入金の償還期間が10年以上であること

※1平成26年4月以降でも経過措置により5%の消費税率が適用される場合や消費税が非課税とされている
  中古住宅の個人間売買などは平成26年3月までの措置を適用。
※2長期優良住宅、低炭素住宅の場合はそれぞれ3,000万円(~平成26年3月)、5,000万円(平成26年4月~平成29年)。
※3長期優良住宅、低炭素住宅の場合はそれぞれ300万円(~平成26年3月)、500万円(平成26年4月~平成29年)。

第2の矢 すまい給付金交付

消費税増税後でも「現金給付」で負担減!

「すまい給付金」とはその名のとおり、住宅購入資金の一部を「現金」で給付しようという大胆な政策だ。取得する住宅の性能や申請者の収入状況など、受給のための条件はあるものの、最大30万円(消費税率8%時)の給付が受けられる[表2]。また、住宅ローン控除の恩恵を最大限受けることができない低~中所得者のための救済策という側面もある。なお、消費税が10%に増税された場合、給付額が最大50万円まで引き上げられる予定となっている。

[表2]

収入額の目安

第3の矢 フラット35 10割融資

頭金なしでマイホームが手に入る!?

国土交通省は、長期固定金利の住宅ローンである「フラット35」について、頭金なしで利用できるようにすることを検討している。「フラット35」は現在、融資上限額を購入価格の9割としているが、これを10割として上限額の制限を撤廃し、まとまった頭金が用意できない若年層などの住宅購入を促進するのがこの政策の目的。リーマンショック後の2009年6月から2012年3月にかけてもこれと同様の政策が取られたが、今回は、消費税増税などによる住宅需要の冷え込みを緩和する狙いがあると見られる。これまで頭金がネックとなって住宅購入に二の足を踏んでいた人にとってはまさに朗報だろう。

住宅の本当の「買い時」はいつか?

消費税増税前の駆け込み需要で市場が活性化している中、上記のような住宅購入支援策が矢継ぎ早に発表され、住宅購入検討者を取り巻く状況は目まぐるしく変わっていく。増税前に急ぐべきか、増税後まで待つべきか、「買い時」の見極めが求められている。だが、物件はいつまでも分譲し続けているわけではない。本当の「買い時」は、理想の物件に出会えた時。不動産経済研究所によると、8月の新築マンション発売戸数は前年同月比で首都圏で53.3%増、近畿圏で56.3%増と、例年になく好調である。暑さも和らいだこの時期は、住宅購入検討者も活発に動き出すことが予想され、競争率はさらに高まるだろう。見極めも大事だが、本当の「買い時」を逃さないように、常に物件情報には敏感でいることをお薦めしたい。

本当の「買い時」は理想の物件との出会いから

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※この記事は2013年10月2日現在の情報によるものです。